トウキョウ (2)

昨晩は暑くて寝苦しかったというか、暗くてよくわからなかったけど、経験上、あの羽音は蚊に間違いないと思うのだけど、あいつら、今年も我が家にやってきて、耳許で飛ぶから、追い払ったり、寝返りうったりしてたらなかなか寝付けなかった。途中で、匂いのある液体を熱して蚊を弱らせてくれる、あれ、を出そうかと思ったけど、昨年何処にしまったのか忘れてしまっていたし、何より寝床から出るのが面倒くさかった。そんなことを考えている最中でも蚊は耳許にやんわりと近づいて来て、あの独特な羽音を響かせている。
それにしてもこの季節は、何かこう不快に感じることが多い。冬なんかは寒いと思っても不快には思わないし、雪がふってもしとしと積るだけで不快にはならないし、冬になると現れる不快な虫なんてのはそうはいない。春の花粉症だって煩わしいけど不快だとは思たことはない。ところがこの梅雨とか夏というのはどうしてこんなにも不快なんだろうな。雨が降ればじとじとするし、太陽が出れば汗掻いてべとべとするし、そして蚊はもう言うまでもないわけで。一年をもっと平均的にして欲しいと思いながら昨晩は深い眠りについていった。
今日、家の近くのタリーズで本を読んでいたら、20代前半くらいの女の人ふたりが会話をしていた。特別、近くに座っていたわけでもないのだけど、とても会話が良く聞こえた。「最近映画見た?」「全然」「ターミネーターの新しいやつ見た?」「ううん、まだ。あれってシュワちゃん出てくるの?」「うん出てくるけど、多分合成。体とか多分違う人なんじゃん」「あれ今シュワちゃんって大統領だっけ?」「違うし〜、州知事でしょ」「あっそっか」東国原が内閣総理大臣みたいなもんだねとか思いながら手許の本から視線を外し、どんな顔がこんな恥ずかしい会話を公共の場で繰り広げているのかと気になってついふたりを見てしまった。20代前半くらいの女の人という感じだった。ちょっとやんちゃな感じだった。そして夜になりテレビを見ていたら、キャバ嬢に今の内閣総理大臣はって聞いていた。「小泉さん」って言ってた。で、ふと思ったのは、こういう人たちは東京で暮らさないで、もっと田舎で暮らすべきなんじゃないだろうかってことだ。東京にいると余計な情報ばかりが目に入って来て、肝心なことを全然見なくなる。都会は馬鹿が暮らし辛いところだと思う。だからそろそろ自分も限界を感じているし、とっとと北鎌倉とかに住みたいと思う。そして家の近くの直営所とかで野菜を買って来て、おいしい野菜スープとか作りたい。
あの人が遂にシネスコで撮る。しかもスーパー35ではなく、アナモで撮る。
個人的には深作監督へのオマージュなんじゃないかと思う。