妄想/不快

昼間からKFCで、鶏の肉を頬張って、腹を満たしてみたりしていたら、ちょうど目の前の制服姿の女子高生が同じように昼間から鶏の肉を頬張って、指先を脂でぎらぎらにして、骨までしゃぶっている姿に釘付けになってしまった。皮はつるりとはげるだろうとか、ああ、そんなにしゃぶり尽くすのかとか、軟骨はこりこりしてるだろうにとか激しく妄想を膨らます自分を恥じるとともに、妄想の偉大さを讃えつつも、短絡的な自分の妄想力を呪詛した。
最近は衛生面に凄く敏感な世の中だから、特にお店とか慎重で、呑みに行ったりとかしても、その所為で非常に不愉快な思いをしたりもする。空いた席のテーブルに抗菌スプレーとかシュッシュと吹きつけて綺麗にするのだけど、ボックス席とかじゃなくてテーブルとテーブルが隣接してるのに、平気でスプレーを放つ店員というのはどういう神経をしているのだろうか。スプレーの飛沫の拡散具合を理解できていないんだ。こっちは食事をしているのだ。不愉快というか、呆れて笑えてきた。その店で何か変な菌をもらうよりよっぽど不快だ。そんなスプレーで客に不愉快な思いをさせるくらいなら、早朝の渋谷の街でごみ拾いでもしたほうがよっぽど衛生的で世のためひとのためってもんだ。ある時あの街はただのごみ溜めの姿をしてしまう。

合掌

およそひと月前に書いたが、ほったらかした文章があった。
昼間は蝉が鳴いてるし、夜は鈴虫が鳴いてるしで、季節の狭間だね、という感じがしてるけど、空を見てると、秋だね、って感じられるし、窓とか開けて寝ると、朝起きると寒くて、夏掛けの中で円くなっちゃって、手を伸ばして窓をぴしゃっと閉める日々が続いている。
今、向かいのテーブルに座っている女のひとが前髪を上げて一生懸命化粧をしてるのをちらちら見てしまうのだけども、目の周りがどんどん黒くなっていて、白眼とのコントラストがしっかりついてきていて、モノクロームエフェクトって感じだ。
今日は一日中偏頭痛に悩まされ続け、しかも左の脚、ふくらはぎから下がいつも通り痛くて、まいった。何が原因かさっぱりわからないんだけど、ここ1年くらい結構な頻度で痛くなる。仕事帰りには左脚を引きずりながら帰った。
そんなひと月前を思い出しながら、更にそれ以前に書いた、ギャラの未払の憤りの文章も読んでみたが、一昨日、ATMに記帳しに行ったらまだ振り込まれていなくて、溜息が溜息とは呼べないくらいに大袈裟に出た。もういい加減にして欲しい。
昨日は、全然そんなつもりではなかったのだけど、ちょっと時間が空いたので、渋谷のMARGARET HOWELLに寄ったら、本当にまったく全然そんなつもりではなかったのだけど、たまたまMHLの服を着ていたから店員さんが
「今日も着てくださって、ありがとうございます」
と言われて、ちょっと恥ずかしくなって、苦笑い半分で
「いや、そんな・・」
とか返事したら
「今日の天気なんかにはぴったりですね」
と言われ
「はい、今の季節には丁度いいですよ」
とかほとんどオウム返しみたいな答えをしてしまった。そういえば代官山にMHLのショップができたのだ。
そういえばといえば、iPhoneの話だが、この間ついに大辞林のアプリを買ったのだけど、アプリ自体はもう楽しくて、仕事の移動中とかずっといじってるけど、どうやらそれがグッド・デザイン賞に選ばれたらしくて、感謝セールとかで、1000円安になってるらしいので、とても悔しい。ちょっと待ってれば1000円分他のアプリ買えたのに、早まった。最近気づいたが、iPhoneにしてから自宅のMacBookを使う機会がめっきり減ったわけで、RSSとかも全部iPhoneに移したから、帰りの電車の中とか、喫茶店とかで全部見れちゃうし、MacBook開いてやることなんて、音楽かけるとか(それもiPhoneのリモートで操作しちゃうし)仕事の請求書とかちょっとしたレポートとか制作するくらいなものになっちゃった。これもiPhoneで書いてるしで、本当に便利というか、完全にメカニックに頼って生きてるなって熟思う。依存症。特にiPhone買ってから、暇さえあればBB2Cで2ちゃんねるばかり見てる。
ちょっと前、大学の友達が6年付き合った彼女とついに婚約します、というメールがきた。
と、ここまで書いて更に10日ほどほったらかした。
というのもずっと仕事だったからで、神戸行ったりして、毎日呑んだりで、とても続きを書いていられず、というか書くより働く、呑む、寝るのどれかだった。
神戸で一番盛り上がった呑みの席の時に、高校の友達から同級生の女の子が病気で亡くなった、というメールがきた。その子とは特に仲が良かったわけでもないけど、色白でとても明るい子で、クラスが同じになったこともあったし、何より、同じ歳の、同じ高校に通っていた人が、病気で死んでしまうというのは、悲しい、というか、ありきたりだけど、この歳で生涯を終えてしまうなんて、まだまだやりたいこと幾らでもあるはずなのにと思い、残念で仕方ない。自分が彼女の立場ならどんなに悔しいだろうかと思った。そして何より、両親が悔しくて仕方ないだろうに。そんなこととか考えたり、お通夜の日もまだ神戸だ残念だと思い、だからその呑みの席はちょっと意気消沈したけど、弔い酒だなと、グラスに残った焼酎を一気に飲み干した。

焼け石に水

数ヶ月前からの苛立が、今月の5日の夜、ある些細なことをきっかけに暗闇の中で破裂した。苛立は憤りとなり、渋谷の街を駅へと向かう自分の足取りを加速させた。もうここ何年も我慢の限界を越えて憤りとなることなどまったくなかった。しかしこの件だけは有耶無耶に出来ないのは、何しろそれは仕事であり、金銭にまつわる話だからということだ。渋谷の街を切り裂くように歩きながら、この苛立を通り越してしまった憤りなど、もはや暴力でしか解決できないとすら感じたりもした。とにかく説明責任すら果たさないあの男の顔か、腹か、あるいはさらにその下かに渾身の力を込めて暴力を行使しない限り腹の虫が収まらない、と体全身の血がすべて頭まで逆上したかのように憤っていた。あるいは現金揃えててめぇで頭下げにきやがれと電話越しに罵声を浴びせたい気分になった。駅のホームに辿り着けど、数日前から電話しても留守電にメッセージを残せども梨の礫であるから、さてどのように連絡を取るかということを思案し、毎日のように着信を残してやるか、直接自宅まで乗り込むかなどとありとあらゆる行使する術を考え、電車に乗れども頭に血は昇りっ放しで、つり革をいつもよりきつく握り締めていた。そんな自分の前には茶髪で巻き髪の年頃は20代後半ぐらいの女性が座っていて、パリだかの観光雑誌を眺めていた。あるとき彼女はふと雑誌を閉じて俯いていたのだけど、気がつくと、彼女の両頬には涙が伝っていたのだった。彼女は鞄からタオルを取り出し、涙を拭った。なんだかそれを見ていたら、憤りが少し収まっていった。電車を降りる頃には殺気立った気もすっかり落ち着いて、彼女が突如何故泣き出したかはわからないが、彼女にありがとうと言いたくなったものだ。この話を女友達にしたらば「電車は泣きやすくなる」とか「泣きたくなる」と言っていた。

今年下半期期待する映画の一本は、サム・ライミの新作「Drag Me To Hell」で、その邦題が「スペル」なんだとか。なんだそれ。阿呆か。「Hell」がついているのに何故「地獄の・・」ということにならないのか疑問でしょうがない。最悪でも「ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル」だと思うのだけども、今の日本はドラッグという言葉に過剰なまでに反応してしまうから駄目ってことだったりしたらそれはそれで面白い。ここはやはり「私を地獄に連れてって」がいいんじゃないかと思う。
先週はあっという間に仕事が終わる日々で、仕事後にまたHMVにいった。この間は、HMVに着いてから何を買いにきたのかまったく思い出せなくなり、これは健忘症ではないか、まずいぞこの若さで物忘れだなんて洒落にならないもんだとか少し焦りながらも、長らくHMV内をうろつき思い出しを図ったが、考えれば考えるだけ、頭の中がむず痒く感じるだけで、結局その日は手ぶらでHMVを出た。今日こそ買うぞ、Jack Peñateと気張ってHMVに入ると、出てるよWhitneyの新譜・・2枚とも買って帰るも、聞いてないよJack Peñate・・Whitneyを先に聞き始めたら抜け出せなくなってしまったよ、ごめんねJack Peñate・・。SwizzとAliciaはもちろん良いけど、やっぱStarGateが今の自分にはたまらないプロダクションをするから、何度も聞いてしまって、特に"A Song For You"とか最高で、メロメロになってしまう。Eric Hudsonは期待はずれで、これEric Hudsonって感じじゃないじゃんってほどで、ちょっとがっかりだった。ま、最後はR. Kellyのおっさんが最高な仕事をしてる。これはおっさんの新譜も期待できるな。さてそろそろJack Peñate聞くかね。

肌寒い夜の過ごし方

とりあえず最初の週が一段落。何事もなく終える。やはり楽しい現場だった。毎晩仕事終わりに呑んで、笑って、喋った。普通ならばあり得ないだろうに。
今日は渋谷のApple StoreでアイコンがへんてこなことになったiPhoneを見てもらう。散々待たされて「非常に珍しい症状ですね」とか言われただけで直らず。一回すべてをリセットしろと。今のiPhoneさんにすべてがなかったことになってもらえという趣旨のことを言われた。そりゃ機械だから操作ひとつで簡単になかったことに出来るけど、なんだかね。ついでにSnow Leopardを買う。
その後、何をすることもなくただぶらつく。夏でもなく秋でもない感じがそれとなく漂う曇天の下、渋谷をあっち行ったり、こっち行ったりしてみた。
途中、ふと思い出してLIBROへ向かう。川上未映子「ヘヴン」が背伸びするように周りの書籍よりもちょびっとだけ高く積み上げられていた。その中から一冊抜き取り、レジへ。領収書。
そうだな、ハンズでも行こうと思い立ち、向かって行く。エアーダスター350mlがまさかの300円台だったので、購入を決断、逆噴射できるのかと店員に尋ねると、「長時間は無理って書いてありますね。ちょちょんっとなら大丈夫ですよ」と言われる。「ああ、ちょちょんっとね」と頷いて3本購入。領収書。
で、最後にHMVへ。店頭ではCrystal Kayのベスト盤のキャンペーンで盛り上がろうと努めていた。店内を長い時間をかけてぶらつく。NE-YOのちょっと前の曲がかかっていた。もしかしてNE-YOもベスト盤か、と店内を見渡すと、やはりあった、ベスト盤。ちと早すぎるだろ。結局、何も買いたいものは見つからず。CLARKのTURNING DRAGONがこの間まであったのにどこのHMVに行っても売り切れている。致し方なく、PASSION PITのMANNERSを買ってみる。SLEEPYHEADしか聞いたことないのだけど。現在も聞きながらキーボードを叩いているが、若いなぁって思った。音も若いし、やってることも若い。1曲目なんかはAU REVOIR SIMONEでも始まったかと思った。ところでiTunes Storeで試聴してみたMEGのThe Shanghai Restoration Projectとのアルバム、買ってみようかなという気になってきてしまった。
明日は「クリーン」でも見に行こうかしらて。

トウキョウ (2)

昨晩は暑くて寝苦しかったというか、暗くてよくわからなかったけど、経験上、あの羽音は蚊に間違いないと思うのだけど、あいつら、今年も我が家にやってきて、耳許で飛ぶから、追い払ったり、寝返りうったりしてたらなかなか寝付けなかった。途中で、匂いのある液体を熱して蚊を弱らせてくれる、あれ、を出そうかと思ったけど、昨年何処にしまったのか忘れてしまっていたし、何より寝床から出るのが面倒くさかった。そんなことを考えている最中でも蚊は耳許にやんわりと近づいて来て、あの独特な羽音を響かせている。
それにしてもこの季節は、何かこう不快に感じることが多い。冬なんかは寒いと思っても不快には思わないし、雪がふってもしとしと積るだけで不快にはならないし、冬になると現れる不快な虫なんてのはそうはいない。春の花粉症だって煩わしいけど不快だとは思たことはない。ところがこの梅雨とか夏というのはどうしてこんなにも不快なんだろうな。雨が降ればじとじとするし、太陽が出れば汗掻いてべとべとするし、そして蚊はもう言うまでもないわけで。一年をもっと平均的にして欲しいと思いながら昨晩は深い眠りについていった。
今日、家の近くのタリーズで本を読んでいたら、20代前半くらいの女の人ふたりが会話をしていた。特別、近くに座っていたわけでもないのだけど、とても会話が良く聞こえた。「最近映画見た?」「全然」「ターミネーターの新しいやつ見た?」「ううん、まだ。あれってシュワちゃん出てくるの?」「うん出てくるけど、多分合成。体とか多分違う人なんじゃん」「あれ今シュワちゃんって大統領だっけ?」「違うし〜、州知事でしょ」「あっそっか」東国原が内閣総理大臣みたいなもんだねとか思いながら手許の本から視線を外し、どんな顔がこんな恥ずかしい会話を公共の場で繰り広げているのかと気になってついふたりを見てしまった。20代前半くらいの女の人という感じだった。ちょっとやんちゃな感じだった。そして夜になりテレビを見ていたら、キャバ嬢に今の内閣総理大臣はって聞いていた。「小泉さん」って言ってた。で、ふと思ったのは、こういう人たちは東京で暮らさないで、もっと田舎で暮らすべきなんじゃないだろうかってことだ。東京にいると余計な情報ばかりが目に入って来て、肝心なことを全然見なくなる。都会は馬鹿が暮らし辛いところだと思う。だからそろそろ自分も限界を感じているし、とっとと北鎌倉とかに住みたいと思う。そして家の近くの直営所とかで野菜を買って来て、おいしい野菜スープとか作りたい。
あの人が遂にシネスコで撮る。しかもスーパー35ではなく、アナモで撮る。
個人的には深作監督へのオマージュなんじゃないかと思う。